HAIKU maimai Library

俳句maimai資料館

【鼓虫】 まいまい(マヒマヒ) 《1》ミズスマシ科の水生小甲虫。体長七ミリメートル内外。体は紡錘形で、光沢ある黒色。中・後肢は扁平で遊泳に適する。複眼は上下に分かれ、水中と外界とを同時に見ることができる。池沼や小川にすみ、他の小昆虫を捕食。水面を急速に旋回する習性があり、驚くとただちに潜水する。春先から人目にふれる。日本各地に分布。 類似種の、小形のコミズスマシ・ヒメミズスマシ、大形のオオミズスマシなどを含めてもいう。うずむし。まいまいむし。《季・夏》〔 書言字考節用集(1717)〕

ごあいさつ

三橋敏雄から学んだことは俳句表現だけではありません。俳人という生き方、それを理解しあうのもまた俳人たちだということ。昭和の俳人たちが作りあげていたものは、戸籍血縁ではないもうひとつの家族形成でした。 貴重な体験をさせていただいた。三橋敏雄と俳句に迎え入れられた幸運から育まれたのが、この maimai family+ work waku waku project なのです。

書肆まひまひの社名の由来は、2000 年『三橋敏雄俳句いろはカルタ』の発行所として作った名称で「しょしまいまい」と読みます。敏雄俳句の「濁り田の隅にまひまひ熱中す」から命名しました。

小さな資料館ですが、三橋敏雄の略年譜も再校し充実させました。中村裕の俳句資料もお役に立てたら幸せです。

Toshio Mitsuhashi

三橋敏雄俳句いろはカルタ

読札
三橋敏雄・筆
絵札
ナムーラミチヨ
全48句掲載
発行
書肆まひまひ
価格
9,000円(送料込)在庫僅少

三橋敏雄(1920~2001)略年譜

俳句maimai書棚から

三橋敏雄の第一句集「まぼろしの鱶」。敏雄が生まれ育った八王子に親友の詩人三好豊一郎と画家城所昌夫、両氏による帯文と装丁の「弾道」。敏雄の生涯で最も重要だったのは渡邉白泉と西東三鬼でした。それから、阿部青鞋についてもよく話題になりました。「ひとるたま」に興味をもった方におすすめ。「三橋敏雄選句_噫 阿部青鞋」のプリントを敏雄からもらって保管していたので、PDFデータにしました。非常にユニークで人間の心の奥に触れてくる俳句です。平凡社「太陽」にて、中村裕の企画編集・三橋敏雄「昭和俳句栞草」なども大変興味深い連載記事でした。書肆まひまひの俳句ファミリーでもある哲学者の越智洋による「透明な俳句空間_芝不器男論」が「現代俳句」(令和3年10月1日発行)にて、第41回現代俳句評論賞の選後評で取り上げられました。 その論文PDFをアップロードしましたので、ぜひ読んで欲しい。「BOOK OF HAIKU」ジャック・ケルアックも俳句を楽しんでいたようです。

Yutaka Nakamura
Photo by Satomi

中村裕(1948~2017)と俳句

現代俳句のもっとも熱かった時代=新興俳句運動の始まりからその後までを生き抜いた三橋敏雄、その最終章に間に合ったのだ。敏雄との出会いが中村裕を俳句への執念に生きる人に変えた。敏雄の審査で60句掲載できる「壚坶(ローム)」に3回連続挑戦して名実ともに俳人になった。 その頃、「渡りきる橋の長さや夏燕」達成感のこの句に敏雄が「裕さんはこういう句を作らなくていいんだよ」と。”魂を逆撫でするような作品(敏雄の言葉)”を期待している怖い師匠だったが、「ベランダに海豚くる日のため音楽」この裕句を心から愛してくれた。つまり敏雄の俳句表現主義は、技術よりもっと大切な何かを示唆してくれていたのだ。 裕は幸せすぎる弟子だった。彼はもともと編集・ライターだったので、俳句を内側からも外側からも書ける力があった。俳句の鑑賞力を高めたい人にとっての必読書の数冊を上梓することができたのは俳壇への大いなる貢献になったと思う。2014年から 2016年末までの「悟空の会」出句から選句220句余りを文香さんがPDF BOOKにまとめてくださった。ぜひ、読んで欲しい。

中村裕の書籍

「中村裕句集 石」

中村裕
AD
羽良多平吉
題字「石」
三橋敏雄
発行
鞦韆堂(1997年)

中村裕の初めての句集。二百二句が収められている。題字「石」は「石削り石となりたる俳句かな」より。栞に「自らの俳句の出発に際して逸早く代表作 ベランダに海豚くる日のための音楽 をものにしてしまった著者の初心凝視の句集!(三橋敏雄)」の惹句がありがたい。

「名句で味わう四季の言葉」

中村裕
写真
今森光彦
企画編集
村井康司
発行
小学館(2003年)

季語という言葉のジャンルをその言語体系の中に明確に持っているのは、世界広しといえども日本語ぐらいである。それは日本人の自然観、季節観と深く関わる問題だが‥‥、俳句という世界最短の詩形によって、それは鍛えられ、磨き上げられてきたのである。

「俳人合点帖」

中村裕
ナムーラミチヨ
AD
太田竜郎(CROSS)
発行
春陽堂 (2010年)

正岡子規、高浜虚子から石田波郷、渡邊白泉まで25名の俳人のポルトレ集。それぞれに関する特定のエピソードや事象に光をあて、そこから浮かび上がってくるその全体像。それぞれの俳句作品も約20句ずつ紹介する。

「疾走する俳句 白泉句集を読む」

中村裕
AD・編集協力
ナムーラミチヨ
発行
春陽堂 (2012年)

「戦争が廊下の奥に立つてゐた」で知られる渡邊白泉の作品100句の解説と「オープンコースを走った俳句ランナー」と題する白泉小論とからなる本書は、白泉に関する単行本としてはほぼ唯一のもの。新興俳句を西東三鬼らとともに強力に推進し、三橋敏雄の師でもあった渡邊白泉をいまこそ読み直そう。

「俳句鑑賞450番勝負」

中村裕
画・デザイン
ナムーラミチヨ
発行
文藝春秋 (2007年)

歳時記にある例句は、あくまで季語の説明のためのもの。したがって季語の入らない無季の作品はどんな名句でも無視される。本書は「流離う人々」「自然の中へ」「人為と酩酊」「生命の絆」「人間と組織」という分類を、さらにそれぞれを6つずつに分け、計30のカテゴリーに、有季無季に関わらず450句を分類し解説した俳句アンソロジー・句華集。

「やつあたり俳句入門」

中村裕
発行
文藝春秋(2003年)

俳句を知らない日本人はいない。でもほんとうにそうか。知ったつもりになっているだけではないのか。俳句入門は、まずその正しい歴史を知ることから始めるべきである。とくに新興俳句運動の意義を正確に認識することが必要だ。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」。現代俳句への革新的入門書。

Namura Michiyo

ナムーラミチヨと俳句

敏雄との出会いからカルタ出版までを、「弦」34号 2011年(遠山陽子・編集発行)に書かせていただいた。1994年同人誌「S.C春昼」の1号~4号の編集長。ローランド・ハーゲンバーグによるドイツ語翻訳のミチヨ句計60句が南ドイツのアートマガジン「PLANTSUDEN」に掲載された。 その頃、同人誌「恒信風」の村井康司さん寺澤一雄さんらとの交流も始まった。康司さんは小学館の編集者でもあったので面白い企画にも参加させていただいた。その一つは『めくってびっくり俳句絵本 ・てのひらの味』(岩崎書店)に「牛乳を白く白く飲む自由」ミチヨ句が掲載された。それから『俳句を遊べ!』では、なんと、若い人たちの俳句と句の読み(解釈)を審査する立場で遊ばせてもらった。
言葉のアート=現代俳句には、コンセプチュアルアートの観点からもこだわりたい。「律動する俳句空間」、敏雄にも読んでもらった小論文です。

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